用途:包装用ポリオレフィンフィルムのブロッキング防止(AB剤)
※本事例は、当社製品を用いた課題解決のイメージストーリーです。

背景:包装フィルム市場におけるブロッキング防止と透明性確保の両立課題
包装用ポリオレフィンフィルム(CPP・OPP・LLDPEなど)は、食品・医薬品・工業製品の包装に広く使用されています。
製造工程では、巻取り時にフィルム同士が密着するブロッキングが生産性を大きく左右します。
ブロッキングを防止するために表面粗さを付与するアンチブロッキング剤(AB剤)が添加されますが、高い透明性が求められる用途では以下のようなトレードオフが生じます。
- 粒径が大きいとヘイズ(白濁)が増加し、透明性が損なわれる
- 粒径が小さすぎるとAB効果が不十分となりブロッキングが発生する
- スリップ性が不足すると巻取り時の張力ムラや開口性の低下を招く
「透明性の維持」と「AB性の確保」は相反する設計要件であり、粒子設計の精度が製品品質と生産効率を左右します。
課題:ブロッキングとスリップ性不足による生産性低下
ある包装フィルムメーカー様では、巻取り工程でのブロッキング発生とスリップ性不足が慢性的な課題となっていました。
既存のAB剤では以下の問題が解消できずにいました。
- 巻取り時にフィルム同士が密着し、ロール品質にばらつきが発生
- スリップ性の不足により、後工程での開口性が低下し製袋ラインに支障
- 透明性を重視した粒径設計ではAB効果が不十分で、ブロッキングを抑制できない
- 粒径の大きいAB剤への切り替えではヘイズが増加し、製品スペックを満たせない
透明性・AB性・スリップ性という三つの要件を同時に満たすAB剤の選定が、開発担当者様にとって大きな課題となっていました。
製品採用例
CUBEシリーズ
技術アプローチ:粒径精密制御による表面粗さとヘイズの最適化
当社では、AB剤としての炭酸カルシウムに対して以下の観点から粒子設計を最適化しました。
- 狭粒度分布設計による粒径の精密制御
- フィルム表面粗さの定量的な最適化
- ヘイズ増加を最小限に抑える粒子形状・サイズの設定
- ポリオレフィン樹脂への均一分散を実現する表面処理技術
導入後の変化:透明性を維持しながらブロッキングを抑制
評価試験により、以下の改善傾向が確認されました。透明性を損なうことなく、ブロッキング防止とスリップ性の向上を同時に実現することが可能となりました。
- 表面粗さの最適化によりブロッキングを効果的に抑制し、巻取り性の安定化と後工程の開口性向上(スリップ性改善)を実現
- ヘイズ増加を最小限に抑える粒径精密制御により、高い透明性を維持したまま必要なAB性を確保
技術者コメント(技術本部 担当者K)
包装フィルムのAB剤開発における長年の宿命的な課題は、透明性・AB性・スリップ性という三要件が常に相反するトレードオフの関係にあった点です。
私たちは、単なる添加量調整ではなく、狭粒度分布設計と独自の表面処理技術を融合させ、粒子設計の根幹から見直しました。
これにより、フィルム表面の微細構造を精密にコントロールし、これまで両立困難とされてきた三つの要件を、初めて高次元で同時に満たすことに成功しました。
課題解決のポイント
本事例の核心は、「AB剤の添加量調整」という従来のアプローチではなく、「粒径精密制御」「粒子形状設計」「表面処理技術」を組み合わせた複合的な材料設計にあります。
フィルム表面の微細構造を精密にコントロールすることで、透明性・AB性・スリップ性の三要件を同時に実現することが可能です。
本設計は、包装フィルムメーカー様にて採用されており、食品包装向けをはじめとする複数の製品ラインで継続的に活用されています。