PROJECT STORY #1

AI推進室が拓く、 現場と共創する未来

近年、テクノロジーの進化は目覚ましく、AI(人工知能)はビジネスのあり方を大きく変えようとしています。当社もこの変革の波を捉え、2025年4月に「AI推進室」を発足させました。

新設されたAI推進室が「工場の自動化」と「AIによる業務改善」という大きな旗印のもと、どのように活動しているのかをご紹介します。特に、創業以来培ってきた製造現場の知恵と、最先端のAI技術を融合させることで、どのような課題を乗り越え、新たな価値を創造しようとしているのか。キーパーソンであるR.Sの言葉を通して、その挑戦の軌跡と未来への展望を語ります。

プロジェクトメンバー

  • R.S さん

    AI推進室 室長

    前職では、独学による社内システム開発を経験し、ITへの探求心を深める。
    2003年 当社入社後は、経理、情報システムといった多様な業務を経て、社内SEとして当社のIT基盤を長年支える。
    2025年、AI戦略の中核を担う AI推進室 室長に就任。

Chapter:1

AI推進室の使命:共創する未来への3つの柱

全社的なAI活用の推進を通じて、持続可能な成長と競争力強化を目指す重要なミッションを担っています。その核心は、「工場の自動化」による生産性の飛躍的向上と、「AIによる業務改善」を通じた企業活動全体の効率化・最適化です。

  • 事業プロセスの最適化

    当社の主要な事業活動、特に製造プロセスにおいて、AIを活用した自動化と最適化を推進します。 これにより、品質の安定化、生産性の向上、そしてコスト削減を実現し、事業競争力を強化します。

  • AIリテラシーの向上と
    健全な活用文化の醸成

    AIの本質、特性、活用範囲、そして限界に関する正しい知識を全社員に啓蒙します。AIがもたらす可能性を理解しつつも、過度な依存を避け、社員一人ひとりが主体的にAIを業務に適切に取り入れられる文化を醸成していきます。

  • 全社横断的な課題解決の
    支援とプラットフォーム構築

    各部署が抱える具体的な課題に対し、AIを活用した解決策を提案・実行し、その成功事例を全社で共有・展開します。これにより、企業全体の課題解決能力を高め、AIを軸とした持続的な成長を支えるプラットフォームを構築します。

AI推進室は、AIを単なる技術として終わらせることなく、社員一人ひとりの業務を支援し、当社の多様な課題解決に貢献するパートナーとなるよう、その基盤を築いていくことをミッションとしています。
AIの本質を理解し、その可能性を最大限に引き出すことで、全社員と共に当社の新しい企業価値創造に挑戦していきます。

Chapter:2

失敗を糧に、AIと共に歩む試行錯誤の道のり

  • R.Sさん

    AI推進室では「工場の自動化」と「AIによる業務改善」を主なミッションとして掲げています。 特に「工場の自動化」では、当社が長年にわたって積み重ねてきた製造ノウハウが凝縮された工程にAIを導入し、品質の安定化や効率化の実現を目指しています。 その取り組みの一つが、当社製品の基となる製造工程へのAI導入です。とある製造工程では製品の品質において重要な要素でありながら、その良し悪しの判別は、これまで長年の「人の経験と勘」に大きく依存してきました。 原料の投入量や排出量、空気と燃料のバランス等で調整しますが、この調整もまた、熟練者の経験と勘による技量が頼りです。わずかな調整の差が、次の製造工程での反応の違いとなり、最終的な製品品質のばらつきにつながることがありました。長年にわたる膨大なデータは蓄積されているにもかかわらず、そこから「最適な焼き具合の答え」を導き出すのは、これまで人間にしかできませんでした。

  • インタビュアー

    AI導入によって、その「勘と経験」に依存した課題にどのようにアプローチされているのですか?

  • R.Sさん

    AIで数値化・分析することで、品質の安定化と業務効率化の両立を目指しています。熟練者が持つ感覚的な判断基準をデータとして可視化し、客観的で再現性の高い判断を可能にすることで、安定した高品質な製品を提供し続けたいと考えています。 まず着手したのは、数値としてAIで自動判別する仕組み作りです。計測器で生石灰の物性を測定し、そのデータをもとにAIに関係性を学習させようと試みました。

  • インタビュアー

    なるほど。データ収集はスムーズでしたか?

  • R.Sさん

    いえ、それが最初の大きな壁でした。AIの学習には大量のデータが必要なのです。しかし、サンプルとなる石を一つ一つ人間の手で選定し、物性を測定したうえで化学的に分析するという作業は想像以上に時間と手間がかかります。たった10個のサンプルを測定するだけでも、1日半を要してしまうほどでした。研究所に協力を仰ぎながら必要なデータ数を収集したのですが、非常に根気の要る大変な作業でした。 そして、さらなる試練が訪れました。約1年近くかけて積み上げてきたデータに異常が発見されたのです。原因を調査したところ、まさかの測定機材の不具合が判明。収集した全ての物性データが信頼できないものになってしまいました。AIに「いつから壊れていたのか教えてほしい」と尋ねたほど、消沈しました(苦笑)。積み重ねてきた大量の努力が水泡に帰したような、苦い経験でした。

  • インタビュアー

    それは想像を絶する状況ですね…。どのように乗り越えられたのですか?

  • R.Sさん

    落ち込んでいるだけでは何も解決しないので、すぐに気持ちを切り替え、方向転換を図りました。幸いなことに、物性データ測定と並行して石の写真も撮り続けていたため、その画像データをAIに学習させ、製品状態を予測できないかと考えたのです。画像データの数は十分とは言えませんでしたが、様々な手法を組み合わせることで対応しました。 結果として、物性データを用いた手法より高い精度での予測が可能となりました。画像データはシステムへの負荷も大きく、AIの学習に時間がかかるというデメリットはあります。しかし大きな失敗をきっかけに、より効率的で精度の高い手法にたどり着けたことは、大きな収穫でした。失敗が、次の一歩を切り拓いてくれたのだと感じています。

Chapter:3

未来を創る挑戦の道

  • R.Sさん

    AIは万能ではありません。だからこそ、AIが「何が得意で何が苦手か」を理解し、適切に使うことが非常に重要です。AIを盲信して思考を放棄せず、重要な場面ではAIを参考にしながらも人が考え判断するなど、AIと人間の協調が何よりも大切です。勉強会などを通じてAIとの適切な関わり方を啓蒙していきたいですね。社員一人ひとりのAIリテラシー向上も、大きな目標です。 最終目標の一つは、当社で働く皆さんがあらゆる業務に自然にAIを活用できる環境を整えることです。AIエージェントを中心として社内全てのサービス、データをつなぐことで、特別な知識が無くても誰もが業務アシスタントとしてAIを活用できるような仕組みを目指しています。AIが社内全体の課題解決をサポートする知見を持つ存在になる、そんな未来を描いています。

  • インタビュアー

    その壮大な目標の実現のために、具体的にどのような取り組みを?

  • R.Sさん

    各部署との緊密な連携が不可欠です。ミーティングを通じて各部署の課題を深く理解し、AIを活用して様々な解決策を検討、実装しています。現状はそれらの解決策について、全体ビジョンを俯瞰しながらシステム化、データ化していくことで、部品として蓄積しています。これらの部品は次の段階でAIエージェントに接続して組み合わせることで乗算的に相乗効果を生み出し、活用の幅を広げていけると考えています。

  • インタビュアー

    AIの進歩やトレンドの推移は非常に速く、様々な情報があふれていますがどのように情報収集しているのですか?

  • R.Sさん

    はい。AI推進室のミッションを果たす上で、常に新しい情報を取り入れ、クリエイティブな発想を生み出すことは欠かせません。情報収集という点では、ネットだけでなく、AI関連コミュニティーに参加したり、展示会での情報収集も行ったりしていますが、十分とは言えません。最近は新聞も活用しています。AI関連の記事が毎日どこかに掲載されており、世の中の動きの速さに改めて驚かされると同時に情報源選択の重要性を感じさせられました。

  • R.Sさん

    AIは私たちの仕事をもっと魅力的で効率的にする強力なツールです。
    常に最新の情報、トレンドをキャッチし、当社において何が最適であるかを見極め、コスト、システム環境、ユーザーの使いやすさといった、あらゆる要素のバランスを総合的に判断することが求められます。
    とはいえ、拙速は巧遅に勝ります。AIの進化は想像を超える早さで進んでいます。今日できなかったことが、明日には可能になるかもしれません。まずはチャレンジし、ダメならまた別の手を試すを繰り返し、小さな実績を積み重ねて大きな形につなげていこうと考えています。

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